ニューヨークズリアル

 もう4ヶ月前の話になってしまうけど、来日していたPLUS/MINUSの素晴らしいライブが今でも脳裏に焼き付いている。
ご一緒させていただいた名古屋も最終日の東京もどっちも本当に良いライブだったなぁ。
心への突き刺し方が、これでもない位絶妙。
暑苦しくなく、かと言って冷めすぎず・・・そして超自然体。
スケジュール的に、本当はすぐに帰らなければならなかったが、せっかくの機会であるし、小松さんと共に名古屋の打ち上げに出たのである。
PLUS/MINUS御一行のテーブルに、私と小松さんが相席。
私の隣に座ってらしたのは、PLUS/MINUSでサポートベースをされている、VERSUSのリチャードさん。
リチャードさんはとても気さくな方で、たくさん話しかけて下さった。
嬉しい、私もたくさん話したい、しかし話しかけて下さる言語は、オンリー英語、怒涛の英語、英語につぐ英語。
片や、英語の成績余裕で2を取る人間こと私。頭の中は、What?で一杯である。
少し前に、外国の方との会話は「アーハン」と言っていれば乗り切れる、と書かれたブログを目にしていたので早速実践してみたものの、明らかに会話の流れは私が何か答えなければならない段であり、小松さんに「何て言っているんだろう・・・小松さん英語分かる?」とヘルプを求めたものの、『俺もわからないんだよね』とのことで絶望する。
しかし小松さんも加わり、何とか会話が進み、リチャードさんは『尊敬するプレーヤーは誰か?』とミュージシャンらしい質問を私達にして下さった。
小松さんは外国のドラマーの名前を挙げていた。
私は・・・誰だろう?パッと名前が出てこず悩んでいたら、小松さんが『椎名林檎』と勝手に答えていた。
その後小松さんは違う方と話し始めた。
リチャードさんは手持ちぶさたな感じであるが、私はどうすればいいか分からず押し黙っている。
しかし、英語が分からないからと言って、このまたとないかもしれない機会を沈黙で過ごしていいのか?
何か、何か話せることがあるはず・・・!
私のどこかから、積極性がわいてきた。話すこと、話すこと・・・・
そうだ!!!

「ゴシップガール イズ ニューヨークズ リアル?」

『?』

「Gossip Girl





is

NY's Real?」

『??』

ゴシップガールとは、ニューヨークの超高級地区アッパー・イースト・サイドに暮らす名門私立高校生の“セレブ”な日常と目まぐるしい人間模様を描いたアメリカンドラマ(http://wwws.warnerbros.co.jp/kaidora/gossipgirl/intro.php)で、昨年ハマって一気に最後まで観たのである。
PLUS/MINUSの皆さんが住むニューヨークと私の接点を無理やり捻り出した末の言葉であった。
リチャードさんは困った顔をしていた。私はもう後に引けず、ゴシップガールの写真をスマホに表示し見せた。
『あ、これは僕は観ていないんだよね、あの子なら観ているかも(英語の成績2の人間による訳)』と斜め前にいたギターボーカルのジェイムスさんの彼女に話題を振ったのである。
私はそんなに話が大事になると思っていなかったので動揺した。
しかし、もう船は港を出てしまった。

「ゴ・・・ゴシップガール イズ ニューヨークズ リアル・・・?」

ジェイムスさんの彼女に同じ質問をした。

『ゴシップガール・・・友達が観てたな。でもごめんね、私は観ていないの(英語の成績2の人間による訳)』

「アーハン・・・」

私が勇気を出して自ら振った唯一の会話はこうして幕を閉じた。

PLUS/MINUSの素晴らしいライブを思い出す度に、あの時もっと他に話題はなかったのか、そして英語をちゃんと学んでおけば良かったと、後悔の念が込み上げてくる。